当院の手術について About an operation

  手術/麻酔のリスク

 様々な理由で、手術をしなくてはならないときがあります。その時に問題になるのが、手術/麻酔のリスクです。
 当院では、去勢手術や避妊手術の際も、必ず手術麻酔のリスク(死亡する可能性)を説明させて頂いております。簡単に考えられている飼い主さんがほとんどなので、戸惑う方も多いですが、100%安全な麻酔/手術というものは存在しませんので、その事実をご説明する必要があると考えています。そして、そのリスクを可能な限り少なくするために、事前のワクチン、術前の血液検査や胸部レントゲン検査などを必ず行っています。確かに検査する時間とコストはかかるかもしれませんが、動物の命がかかっているのですから省略するなんで考えられません。実際のところ、この術前の検査で病気が見つかることも多く、結構な割合で去勢・避妊手術などが延期になっています。
 人間の医療現場がそうであるように、動物においても、残念ながら100%安全な麻酔というものはありません。しかし、当院では様々な努力を重ねる事によって少しでも安全性を100%に近付けることを目指しています。何を思い治療/手術を行うか、病院により異なります。ワクチン接種していないと手術をお断りし、検査で異常が見つかればその治療を行い、なかなか去勢・避妊手術が出来ないこともあります。でも、一番大切なのは、その子の命です。その命を守るために最善のことをする。そんな思いで診察をしています。ここでは当院における手術の流れを簡単にご紹介します。

  • 手術前の検査
手術前のチェックは
欠かしません。

 安全に手術を行うために、当院では、手術前に必ず血液検査と胸部レントゲン検査を行います。血液検査では、肝臓や腎臓、貧血や脱水、感染症の有無などを検査していきます。胸部レントゲン検査では、心臓の大きさや肺の異常の有無を診断します。検査に異常が認められなければ、手術を行いますが、もし、検査で病気が見つかれば、手術を中止し、その治療を行っていきます。老齢の動物や腫瘍のある動物、心臓に雑音のある動物では、心臓や腹部の超音波検査などの追加検査が必要となる事があります。なお、ワクチン接種を行っていない動物の手術は基本的には行っておりません。

  • 全身麻酔
気管内チューブを挿入し
各種モニターを装着します。

 一言で麻酔といっても様々な麻酔薬、麻酔法があります。ですから、その動物の状態や病気に応じて最適な麻酔薬、麻酔法を選択し、手術をする事が大切になってきます。当院では、その動物に適切な麻酔法を選択しています。また、犬や猫の全ての手術に対し、気管内チューブを入れ(気管内挿管)、人工呼吸下で手術を行っています。ですから、もし手術中に呼吸が止まっても安全に手術が出来ます。また、手術は、手術室で行いますので、非常に衛生的です。

  • 麻酔管理
麻酔ワークステーションや
生体監視モニターにて
適切な麻酔管理を行います。

 当院では、最新式の麻酔ワークステーションや生体監視モニター、パルスオキシメーター、人工呼吸器などを導入しています。これらの装置にて、心電図、血圧、体温、呼吸数の管理はもちろんですが、麻酔濃度や酸素濃度、血中酸素飽和度、換気量、終末呼気CO2濃度など様々な項目の監視を行っています。また、すべての手術において、必ず専属の麻酔医(獣医師)を置き、刻々と変化する動物の体の状態に合わせて麻酔の調節を行っています。 1人の獣医師が麻酔のみに集中することによって、安全に全身麻酔を行うことができます。

  • 疼痛(痛み)管理
異物除去など開腹せずに
内視鏡で行うとほぼ無痛です

 全ての動物は痛みを感じます。手術をされて痛くない動物はいません。ですから、当院では積極的な疼痛(とうつう)管理を行っております。疼痛管理という言葉を初めて聞かれる方もいらっしゃるかと思いますが、要は痛みのコントロールを行うということ、ペインコントロールと言った方がわかりやすいかもしれません。痛みをコントロールするには、様々な方法がありますが、術前から術中、術後において鎮痛剤を使っていくことが重要です。鎮痛剤は、痛みのレベルに応じて、様々な薬剤を組み合わせて使用していきますが、大きな手術や痛みが激しい場合には麻薬系の鎮痛剤を使用することも珍しくありません。同じ手術をしても、疼痛管理が行われていると、動物の負担は非常に軽いものになります。

  • 手術
C-アーム下にて開胸せずに
行うインターベンション
手術を行っています。

 当院では、一般的な手術はもちろんですが、心臓カテーテル治療や骨折の手術などに使用する透視装置や心臓を止めて行う人工心肺装置、胃や腸の中を確認出来る内視鏡などを備えるなど様々な手術に対応しております。また、複数の獣医師によって手術を行うなど、手術時間の短縮に力を尽くしています。手術後は安全に覚醒するのを見守り、麻酔の影響がなくなるまで入院下で治療を行っています。

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